|
アルバム「スリラー」の仕事を終えて、クインシーは、アルバム「BAD」までの間も”ETストーリーブック”、”ウィ・アー・ザ・ワールド”、”カラー・パープル”と歴史的なプロジェクトをこなしてゆきました。
ニュー・エディション”Cool It Now“
「スリラー」発売の翌83年に、ジャクソン5の再来といわれたニュー・エディションがデビュー(デビュー曲の”Candy Girl“は、もろ”ABC”です)、本当に全員素質があり、新しいスターの誕生を予感しました。
そして「BAD」発売の前年の86年には、ジャネット・ジャクソンの3枚目のアルバム「コントロール」が、プリンス一派だったジャム&ルイスのプロデュースの下でついに大ブレイクしました。
ジャネット・ジャクソン”When I Think Of You”
マイケル・ジャクソン”BAD“
ジェフリー・ダニエルズにポップン・タコ・・・バックダンサーにも、魅せられました。
時代は流れて、アルバム「BAD」も前2作から大きく音楽性が変わりました。
マイケル自身の作曲が11曲中9曲(オフザ3曲⇒スリラー4曲)となり、ロッド・テンパートン(オフザ3曲⇒スリラー3曲)の名前が完全にクレジットから消えました。
クインシー独特の、色気のある音色はほとんど姿を消し、ストレートに体に伝わるデジタル・サウンドが中心になりました。また、ほぼすべてのシングルに、”スリラー”タイプのショートフィルムが標準装備となりました。アルバムセールスはスリラーに及ばないものの、全米ポップチャート1位を5曲が獲得する快挙を成し遂げた要因に、シングル・カットの都度、世界の注目を集めるショートフィルムの威力は大きかったと思います。
「BAD」の音楽性は、クインシーというよりはマイケル・ジャクソンが生み出した世界観であり、「キング・オブ・ポップ」の称号のベースだったと思います。
ここで、クインシー・ジョーンズとマイケル・ジャクソンの蜜月時代は終わりな訳で、色々の意見を耳にしますが、僕は明らかに発展的解消であったと思っています。
前人未踏の金字塔を樹立して、数字の記録に負けない価値を創造する為には、これ以上続ける事は互いの為にならなかったと思います。
89年、クインシーは当時の活動の集大成的作品である「バック・オン・ザ・ブロック」を発表しました。
ネイティブなアフリカン・サウンドからジャズ、ゴスペル、R&B、ヒップホップといった古今東西の黒人音楽をブレンドしたそのサウンドは、まさに驚愕でした。
初めて聴いた時には、オープニングのクインシーと息子のQDⅢのラップが入る幻想的なジングルに、違う世界に連れて行かれるような期待感であふれました。
このサウンドのスパイスとしてクインシーが目をつけ、表舞台に復活させたオールドスクール・ラッパーたち、グランドマスター・メリー・メル、アイスT、クール・モー・ディー、ビッグ・ダディ・ケイン。
ジャズ界の盟友、レイ・チャールズ、マイルス・ディヴィス、ハービー・ハンコック、サラ・ヴォーン、エラ・フィッツジェラルド。
“I’ll Be Good To You“feat.レイ・チャールズ&チャカ・カーン
過去プロデュースしたR&Bアーティスト、バリー・ホワイト、ジョージ・ベンソン、ブラザーズ・ジョンソン、チャカ・カーン。
“The Secret Garden“feat.バリー・ホワイト
新旧秘蔵っ子、アル・ジャロウ、ジェイムズ・イングラム、サイーダ・ギャレット、TAKE6、そして当時13歳のテヴィン・キャンベル。
“Tomorrow“feat.テヴィン・キャンベル
クインシーは、この少年に次代のマイケルを見たといいます。
これらのアーティストが分け隔てなく、またあらゆるユニットで繰り広げる音楽は、クインシーにしか出来ない、ブラック・ミュージックの要素全てを使ったアンサンブルでした。
「バック・オン・ザ・ブロック」発売の前年の88年、Guy(ガイ)というグループが誕生しました。
その音楽性には”Back On The Block“に共通したものが感じられました。
彼らの跳ねるように軽快なR&Bサウンドはたちまちクラブシーンで大流行しました。
Guy”Groove Me“
このムーヴメントは、のちにニュー・ジャック・スウィングと呼ばれます。
<続く>
いいですよね!クインシー・ジョーンズ。やはり世代的には愛のコリーダでしょうか。
ところで、テヴィン・キャンベルの「Can We Talk」は何度聴いたか分らないくらい気に入ってました。彼は今どこに?
New Jack Swingは今でもよく聴いてます♪
>Malvaさん
どこに行ってしまったのでしょうかね~?
「Can We Talk」は未だに耳にしますけど、本当に名曲ですね。
思わずひたってしまいます。
ではニュージャック特集しますね。
世代的に申しますと大学1年の時、田舎から上京し当時流行っていたDISCOに行くとよく流れていた曲が「愛のコリーダ」で衝撃を受けたことを思い出します。それ以来クインシ―の曲に魅了され、MJのアルバムの中にクインシ―を感じBGMでよく流していたものでした。クインシ―とMJの関係についての詳細がとてもよくわかる内容で納得です…。今夢中になってMJパフォーマンスをしている息子を応援していますが私個人としては”off the wall"的サウンドが好きです♪
>ぴろきちママさん
コメントありがとうございました!
この時代のDISCOミュージックはどれも、心躍りますが、クインシーの音楽は別世界でしたね。あれもこれもクインシーだったというのを知ったのは後からだったのですが。クインシーとマイケルの出会いは奇跡ですね。ぴろきちママさん、愛のコリーダとともにoff the wallには、素敵な思い出がたくさん詰まっていることでしょうね。そんなことそっちのけで(?)MJに夢中の息子さん、僕も応援してます!