今年も歌手の庄野真代さんが講師をされている法政大学人間環境学部の授業の中で、マイケルやもが臨時講師として、マイケルの慈善事業やメッセージについての話をさせていただくことになりました。
講義の内容は、追ってお知らせします。

「マイケル・ジャクソンの慈善活動とメッセージについて」(前回分)
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>>昨年の講義の模様

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◆講演内容◆

「マイケル・ジャクソンの慈善活動とメッセージについて」

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>>レジュメ(pdf)
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スクリプト:

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こんにちは。マイケルやもと申します。
みなさん、マイケル・ジャクソンの事をご存知でしょうか?
それでは、みなさん、マイケル・ジャクソンは世界一、チャリティ活動を支援したスターだったということをご存知でしたでしょうか?ギネス認定もされているんです。
今日の、「アーティストと社会貢献」は、「キング・オブ・ポップ」マイケル・ジャクソンの社会貢献活動について、30分ほどお時間を頂戴して、お話させていただきます。

まずは簡単に自己紹介から。
スリラーのショートフィルムを見てマイケルに魅了されて、マイケルが亡くなった2009年から、このような活動をさせていただいています。
特に、マイケル・ジャクソンの慈善活動家、社会活動家としての側面に強く信奉しています。
現在、アースデイwithマイケルという慈善団体の代表を務めさせていただいています。

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アースデイwithマイケルは、マイケル・ジャクソンの精神を受け継ごうと、歌とダンスで世界がつながり、よりよい地球にしようと活動しています。

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チャリティ・イベントへの出演、震災復興のための被災地訪問や福祉施設訪問、地球の大切さを子ども達と一緒に学ぶワークショップ、生態系を育み地球環境を維持する自然農法によるお米づくり、街中のごみ拾いまで、全てマイケル・ジャクソンの音楽と関連づけた社会貢献活動を行っています。

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そして、書籍「マイケル・ジャクソンの言葉」という本も書かせていただいています。よりよい地球のためにマイケル・ジャクソンが遺した100の言葉を紹介して、その背景を解説しています。
今日は、このマイケル・ジャクソンの言葉に書かせていただいた内容を中心に講義をすすめさせていただきます。

それではレジュメの3番、マイケル・ジャクソンの慈善活動とメッセージについて。
ちょっとここでビデオを見てみましょう。

【ビデオ1】

マイケルの魅力は、なんといってもダンスや映像をはじめ、あらゆる演出を使ってサプライズを巻き起こす表現スタイルです。
今から35年前の1982年、アルバム「スリラー」が人類史上初となる、世界で1億枚を超える大ヒットにより、「キング・オブ・ポップ」という称号を得て、音楽界に君臨しました。
そして、歌に込めたメッセージは全て「子ども達のためのよりよい地球」を目指すようになっていきました。

それでは、マイケル・ジャクソンの代表曲と、込められたメッセージを紹介して参ります。

ビデオを見てみましょう。

【ビデオ2】

・ビートイット(1982年のアルバム「スリラー」に収録)
「どっちが良いか悪いかなんて関係ないのさ」
けんかや戦争のない、平和な世界にしようと訴えています。

・BAD(1987年のアルバム「バッド」に収録)
「本当にかっこいいのは 正義をつらぬくことだ!」
暴力やいじめをしたり、見て見ぬふりをしないようにと訴えています。

・ブラック・オア・ホワイト(1991年のアルバム「デンジャラス」に収録)
「黒人か白人かなんて、関係ないのさ。」
全ての人種がひとつになって、差別のない世界にしようと訴えています。

この3曲は、いずれも全米ポップチャートNo.1になった大ヒット曲です。
マイケルの音楽の画期的なところは黒人でありながらR&Bにとどまらず、世界中に親しみやすいロック調の曲なども取り入れ、白人の心をもつかんで行ったことです。
そして、奇抜なイメージからは見過ごしそうですが、平和な世界に向けた歌ばかり作っていたのです。

それでは続いて、今日のメインテーマ、チャリティ・ソングと慈善活動についてお話しします。

まずチャリティソングについて。
チャリティソングは、慈善目的で楽曲を作り、その売り上げを慈善活動に提供する手法です。
一番有名なのは、85年に発表された、ウィ・アー・ザ・ワールドですね。
みなさんも音楽の時間や教科書で習ったことがあるのではないでしょうか?

これはエチオピアでの大規模な飢饉を救済するため、マイケルらが曲を作り呼びかけ約50人のトップスターが集結、大ヒットし多大な貢献を果たしました。
約1300万枚が売れ、60億円以上が慈善活動にあてられたといわれています。

学校で習ったことがある人(手をあげて)

マイケルは、この成功によって、「音楽で人々を救えるんだ、世界をよりよくできるんだ」と確信したといいます。
そしてその後も世界に災害や紛争が発生すると、必ずチャリティソングを作って、その地の人たちを支援しました。

1995年に阪神淡路大震災が発生した時も、マイケルはチャリティソングを作って支援しました。
「ピープル・オブ・ザ・ワールド」という曲を作詞作曲編曲して、秋元康さんが日本語訳、ジャニーズのユニット、J-Friendsが歌いました。
これによって7億円以上が神戸の復興支援に当てられたといわれています。
911全米同時多発テロ(2001年)や、スマトラ沖地震(2004年)などの際にもチャリティソングを作っていました。

続いて慈善活動について、今日は「ヒール・ザ・ワールド基金」(1992~)についてお話します。
ウィ・アー・ザ・ワールドの後、マイケルは独自のビジネスモデルを開発して慈善活動を行うようになりました。
1991年アルバム「デンジャラス」を発表すると同時に、慈善団体「ヒールザワールド基金」を設立。
音楽活動と慈善活動を強力に結びつけた活動を展開しました。
その象徴的な活動を紹介します。

-アメリカの全番組の中で最も視聴率が高い、アメフト全米一を決めるスーパーボウルのハーフタイムショーを行った最初のアーティストとなりました。そしてその快挙が報じられる中で、この「ヒールザワールド基金」の設立をアナウンスし、ショーでは、スタジアム全体を子ども達の人文字で飾り、世界中の子ども達と一緒にヒール・ザ・ワールドを歌うパフォーマンスを行いました。この模様は70カ国、10億人の人々が視聴したと言われます。

-また、アルバム「デンジャラス」のワールド・ツアーが始まると、ルーマニアのブカレストを開催地にして、当時アメリカとソビエト連邦の冷戦後、社会主義諸国で大規模ライブを行った最初のアーティストとなりました。マイケルは東欧の子どもたちに寄り添って支援をしました。ルーマニア政府には、児童福祉施設や病院の環境改善を提案して、コンサート開催の条件にしました。

-この世界ツアーの収益は「ヒールザワールド基金」を通じて、すべて慈善活動に投じられました。
冷戦後は東欧各地で紛争が起こり国の分裂が進み、たくさんの人々がなくなりました。
最初の慈善活動は、旧ユーゴスラビアで紛争中のクロアチアとボスニア・ヘルチェゴビナの子ども達のために毛布や洋服や医療品など50トンちかくを届けたと記録されています。ツアーの収益は最終で30億円ちかくになったと言われています。

-その後もツアー先の各国の児童福祉施設やこども病院などを必ず訪問していました。
このような一挙手一投足を世界中に伝えながら、世界中の人たちが慈善活動に感心を持ってもらえるようにしていました。

他に優れた慈善活動の例として、世界寺子屋運動のスタートアップ資金の提供の話を紹介します。
これは、1987年、マイケルが「バッド・ワールド・ツアー」で来日した時、
日本ユネスコ協会連盟の、「途上国の子どもたちに学校をつくろう」という構想に対して賛同し、
マイケルは衣装のオークションを開催して約1,000万円を捻出、そのプロジェクトのスタートアップ資金に寄付しました。
現在、この「世界寺子屋運動」は40カ国、100万人の学びの場にまで発展しているということです。

単にアーティストとして作品を広めるのではなく、よりよい社会に向けて積極的に働きかけ、周囲を巻き込んでゆくその活動は、一人の音楽家を超えた、偉大な社会企業家の先駆であったといえます。

最後に、マイケル・ジャクソンの生涯と伝えたかったことについてお話します。

こうして慈善活動に傾注するにもかかわらず、マイケルは多大な受難に襲われました。
少年虐待の疑いによる2度の裁判、マスコミによる誇大なゴシップやスキャンダル記事、それを信じた大衆の偏見、誹謗中傷により、マイケルの名声は大きく損ねられ、50歳の生涯の最後の10年間は大きなブランクとなりました。
それでも裁判の無罪が確定すると、活動再開を準備して、2009年7月にロンドンで復活ライブ「This Is It」を予定しました。
そこではこんなメッセージを世界に伝える目的をもっていました。

「愛が大事だということを、世界に思い出させよう。
そして地球を大事にしよう。
4年で環境破壊を止めて、地球を守ろう。」

「まずは僕たちからはじめよう。
他の方法では、永久に解決できないから。」

このライブには壮大な話題提供と仕掛け作りで望んでいましたが、
マイケルは初演の18日前に急死してしまいました。

その人生そのものが僕たちが人間社会で生きてゆく大きな教訓となっています。

・最後に、マイケルがいちばん伝えたかった核心、「ヒール・ザ・ワールド」という考えについてお話します。
ここでは、東大教授で、「マイケル・ジャクソンの思想」という本を書いている安冨歩氏の説を引用させていただきます。

これは、93年グラミー賞壇上でのスピーチの言葉です。

「魔法、驚き、神秘。
そして子どもの無邪気さは想像力の源です。
そういうものが世界を癒やすのです。」

また、こんなことも言っています。

「僕は、大人たちが自分の中に潜む子どもの心を
取り戻せるような仕事がしたいんだ。」

マイケル・ジャクソンが訴えようとしているのは、差別や争いなどといった社会のすべての問題は、人間の行動を画一化しようというシステムから生まれる偏見と、それに順応して魂を失ってしまっている大人にあり、子どもの純真な創造性を守ることが人類社会と地球を守る唯一の方法なのだといいます。

たとえば「スリラー」の映像も、社会のシステムに組み込まれて、生きているのに死んだ魂になった人々に対する警鐘であり、ゾンビになって踊っているのは、よく見るとみな現代人の仕事や遊びのファッションをボロボロにしたものであり、そこで踊らされているのは映像を見ている大人の社会人なのだというメッセージが隠されているのだと、安富教授は指摘しています。

【ビデオ3】

今流れている動画は「ヒール・ザ・ワールド」のショートフィルムです。
暴力や権力では、争いを止めることはできない。
子ども達の純粋な行動が、戦争を止めて平和な世界にするというストーリーになっています。

日本は第二次世界大戦以降、憲法の定めによって戦争を放棄し、戦争のない国家が実現していますが、
世界中では、今もなお、罪もないたくさんの人たちが戦争の犠牲になっています。
そして日本も今、とても大きな岐路に立たされています。

マイケル・ジャクソンのメッセージを思い出しながら、ヒール・ザ・ワールドのショートフィルムを、もう一度、ぜひじっくりとご覧ください。

ここに集まったみなさん一人ひとりに、必ず、世界で一番輝く個性があります。
みなさんも、この大学生活で、いつまでも子どもの心をもって、子どもの頃の気持ちを大切に、自分らしくいちばん輝けることを探していってください。

それが、世界を癒やし、世界を救うのです。

この講義に使ったスライドは、レジュメの最後に記載しましたURLで公開させていただきます。
また、お問い合わせはお気軽に、HPやメッセやメールなどでこちらまでお知らせください。
この講義で、マイケル・ジャクソンのファンになっちゃったという方は、ぜひ僕たちの活動にもご参加ください。

協力は、トリビュート・トゥ・マイケル・ジャクソン、早稲田マイケル・ジャクソン研究会のみなさんでした。
ご静聴ありがとうございました。
庄野先生、このような機会をありがとうございました。

(おわり)